印鑑が必要な時(遺言状)
正しい遺言状とは
捺印の無いのは無効
印鑑が押されていなかったため、遺言状が無効になり骨肉争う醜い闘いなど避けるべきでしょう。
血と汗で築いた遺方の財産は正しい遺言状で、遺方の意志通り公平に妻子にわかち与えるべきです。
そのために遺言状に絶対に忘れてならないのが、「ハンコ」です。
厳しい法的規制
ところで、遺言とは民法が被相続人の自由な意志で処分できると規定した「遺言制度」です。
しかも遺言者が死亡して始めて効力を発揮するため、遺言の真意を確認できません。
そこで、民法では遺言状に厳しい法律を定めています。
これを「要式行為」といい、次のようなことです。
1.認知
2.財産の処分(遺贈と寄付行為)
3.後見人および後見監督人の指定
4.相続人の廃除および廃除の取消
5.相続分の指定または指定の委託
6.遺産分割の方法の指定または指定の委託
7.遺産分割の禁止
8.相続人相互の担保責任の指定
9.遺言執行者の指定または指定の委託
10.遺留分減殺方法の指定
遺言状の形式と書き方
また遺言の方式を次の3つに定めています。
この方式を取らない遺言状は無効になりますからご注意ください。
自筆証遺言
簡単な方法ですから最も多く使われている方法です。
「全文、日付と氏名を自筆しこれ印を押さなければ無効」となります。
日付は2通の遺言状を残した場合、後の遺言状を優先するための確認。
ただ文中の削除、書き加え変更は「遺言者がその場所を指示し変更を付記してこれに署名、変更場所に捺印しなければ効力がない」とされているため特に注意が必要です。
公正証書遺言
遺言状の紛失、盗難、内容の偽造を防ぐのに最適の方法です。
遺言の利益関係を持たない証人二人以上の立合で遺言者が遺言を公証人に述べて記録(筆記)。
この筆記を承認すると各自が署名捺印し、公証人役場で原本を保管します。
なお、この作成は遺言者の実印、印鑑証明書が必要です。
秘密証書遺言
全文をタイプでも他人の代筆でもよく、遺言者が署名捺印すれば成立する方法です。
ただ加除変更は@項と同じく厳格な方式によります。
そして、遺言者は遺言状に捺印した同じ印鑑で封印し、これを公証人1人と二人以上の証人に提出し、これに公証人が日付と遺言者の述べた住所氏名を書き、全員で署名捺印することになります。
上記文章は、「山梨印判総合カタログ」(山梨県印判用品卸商工業協同組合発行)より抜粋しております。